東京から茨城に引っ越しました


オシャレな部屋と、ゴミ屋敷

僕が住んでいたのは、おしゃれなカフェと美術館の街、清澄白河。
東京駅にも近く、大江戸線と半蔵門線の二路線が使えて、渋谷にも新宿にも乗り換えなしで行ける、便利な駅です。
そんな駅の真上、駅の出入り口まで30歩で行ける、コンクリート打ちっぱなしのメゾネット形式のデザイナーズマンション。
とても快適に暮らしていました。

コロナ自粛中の今年の春、ドアホンが鳴りました。
「隣の部屋のものです。うちの玄関が入れなくなってしまったので、通してください!」
・・・玄関が入れない?
・・・通す?
よくわからないままドアを開けると、隣の部屋のおっさんが、両手にゴミ袋を持って、僕の部屋に入ってきました。
「管理会社には、壁のこと、連絡しておきますから!」
・・・壁?
そしてそのままベランダへ出ていき、隣の部屋のベランダとの間にある緊急避難用の壁を蹴破り、自分の部屋に入って行ったのです。

何が起きたのか、よくわからないでしょ。
僕もわかりません。

どうやら、隣のおっさんはゴミコレクターで、ため込んだゴミで玄関が開かなくなってしまったようなのです。

何ヶ月経っても、ベランダの壁はそのままです。
「管理会社に連絡」
とは・・・?

この時、僕は1ヶ月間誰とも会って喋ったことがないコロナ自粛全開状態だったのですが、まさか久しぶりの会話相手がゴミ屋敷のおっさんとは・・・

ちなみに、1ヶ月前に話したのは、大出血で緊急搬送されたときの救急隊と緊急救命センターの方々でした。
コロナの初期ピークのお忙しい中、命を救ってくださった皆様に感謝です。

社畜と、ホワイト企業

東京に住んで25年。
僕はずっと会社の近くに住んできました。
何かあった時に、すぐにオフィスに駆けつけられる。
それが大事だと思っていたんですね。

実際に、オフィスから家が近いと便利。
終電終わっても自腹タクシーの料金は安い。
オフィス泊まりが何日も続いても、ちょっと風呂入ってくるねと気軽に短時間帰宅できる。
まあ実際には7日家に帰れなかったこともあるけど。
土日出勤も、近ければなんとなく行きやすい。

そんな社畜労働をしていたので、オフィスが晴海に移転した後に、僕も清澄白河へ引っ越しました。
電車に乗るのは、たった三駅。
超楽ちん。

しかしそこで変化が訪れます。
会社が突然ホワイト企業になったのです。
優秀な若者がたくさん入社してきて、僕が徹夜で仕事をする機会が激減しました。
その若者たちの教育の準備で土日出勤したり徹夜したりもありましたが・・・
昔のように、1日の大半をオフィスで過ごすようなことはなくなりました。

すぐ行きますから、Web会議へ

とはいえ、清澄白河にいることは、とても便利でした。
僕は経営やマーケティングの戦略プランナーでもあり、ITの専門家でもあるのですが、クライアントコミュニケーションも重要な仕事。
新規の引き合いがあればすぐにヒアリングに行き、デザイナーがデザイン案を作った瞬間に走ってクライアントに見せに行き、うまく行っていない案件があればクライアント先に常駐して調整する。
クライアント側も、メールで書いたり、要望をドキュメント化するよりも、直接話した方が楽なので、喜んでくれていました。

しかし、ここにも変化が。
コロナにより、クライアント側もテレワークがメインとなり、
「すぐ行きます」
「すぐ来てください」
というコミュニケーションが突然無くなったのです。

今まで、
「ちょっと話があるから来てよ」
と言っていたクライアントも、
「Web会議で話したいんだけど」
と連絡してきます。

全くの新規のお客様からの問い合わせに、今までは
「すぐ行きます!」
としか言えなかったのが、今ではお客様から
「Web会議で話したいんですが」
と連絡が来るようになりました。

これは、本当に大きな変革です。

今までは、どんな営業だろうと、SEだろうと、コンサルだろうと、新規取引時に
「Web会議しましょう」
なんて言えなかったんですから。
「営業は走ってナンボ」
的な常識が、一瞬で消え失せたのです。

生産性という面から言えば、
「1時間のミーティング」
のはずが、実際には
「ミーティング1時間、移動時間が往復2時間、合計3時間×人数」
がかかっていたわけなので、大きく生産性向上が実現できます。

とは言え、直接対面しているわけでは無いので、今まで以上にコミュニケーション能力は重要になるとは思うんですけどね。

東京から、霞ヶ浦へ

さて、ここで僕の引っ越しの話に戻ります。
やばいおっさんの隣に住むのは怖いので、引越しを決意しました。
最初はオフィスがある晴海に近い物件を探していました。
でもよく考えると、会社がホワイト企業になり、そしてWeb会議が普通になった今、別に東京じゃなくてもいいのでは。
実際に、2020年3月中旬から半年、クライアントとも同僚とも一度も会わずに、普通に仕事はできています。
会社も、テレワーク中心に勤務形態を変えていく方針で、固定オフィスの削減を始めています。
これは、東京からどこかに引っ越す機会なのでは・・・

釣りをするボートが置いてあるので、僕は毎週末、茨城県の霞ヶ浦へ通っています。
高速料金をかけ、ガソリン代を使い、往復200Kmを走っています。
土日連続で釣りをする時は、土曜の夜にはビジネスホテル泊まり。
日曜の夕方東京に戻る時はいつも渋滞。

・・・もしかして、霞ヶ浦周辺に住めばいいんじゃない?

そう考えた瞬間、霞ヶ浦湖畔の物件を見つけ、不動産屋に連絡し、即契約してしまいました。

でも、やはり社畜魂が抜けず、
「何かあった時にいつでもオフィスへ、クライアントへ行けるよう」
と考えてしまい、東京行きの特急が止まる駅前の物件にしちゃいました。
「ボートが置いてある場所の近くに住む」
ってところまで踏み込めなかったのが、ちょっとダメだなあと自分でも思います。

19万から、6万円へ

あんまりオープンにするのもアレかなあとは思うのですが、知りたい人もいるかなと思って、お金のことを書きます。
ぶっちゃけ、月に10万以上浮くことになります。

月額 東京 茨城
家賃+駐車場 ¥140,000 ¥60,000
ガソリン代+高速代 ¥30,000 ¥3,000
ビジネスホテル ¥25,000 ¥0
合計 ¥195,000 ¥63,000

差額は、月に¥132,000。
毎月ロッドとリール買えるじゃん!(ダメな人の考え方)

年にすると¥1,584,000。
ボートのエンジン新品にできるじゃん!(とってもダメな人の考え方)

不安と、希望

お金が節約できることはともかく、釣りの往復の距離が減るのは嬉しいですね。
疲れ切った東京への帰り道、渋滞の中、交通事故起こしたりする可能性は高いですから。

とはいっても、不安はあります。

仕事をする上で、本当に問題は無いのだろうか。
やはりクライアント先に直接行った方がいい場面もあるのでは。
でも、とりあえず東京までは特急で1時間で行けるのでどうにかなるかなあとは考えています。

そして、田舎暮らし(地元の人ごめんね)が僕にできるのか。
早朝のコンビニの駐車場で、車の前でウェーイと酒盛りしている若者とかいるんですよ。
とてもカラフルで大きな音を出すバイクで夜通し走っている若者もいるんですよ。
東京ナンバーの車がいたから、怒鳴ってやったわい!ってイキってる老人もいるんですよ。
そんな文化の中、生きていけるかなーというのが一番の不安です。

でもまあ、清澄白河でも、酔っ払ってウェーイしてる人はたくさんいるし。
おシャレカフェのゴミをそこらに投げていく若者たくさんいるし。
駅前で路上喫煙してポイ捨てしてる老人多いし。

まあ、どこでも同じかもしれませんね。

早朝の釣りと、9時からの仕事

引っ越しの翌日、朝6時から釣りをしてみました。
ロッド一本だけ持ち、歩いて数分でポイント到着。
8時までスピナーベイトを巻いてみましたが、無反応。
9時にはパソコンに向かい、普通に仕事を開始。

釣り人なら誰もが憧れる、「仕事の前後に釣りをする生活」が可能になりました。
流石にこの生活を毎日するのは体力的には難しいでしょうけどね。
もとより、僕は「毎日釣りをしないと死んじゃう」ぐらいの釣りキチではないので、気候がいい時期にたまに朝やってみようかな、ぐらいに考えています。

テレワークと、移住

テレワーク主体の勤務で、東京からの移住を考えている人も多いでしょう。
そんな人たちの参考になればと思い、僕の状況を書いてみました。
まだ引っ越したばかりで、今後どうなるかわかりませんが。
今の所、快適に過ごしていけそうな予感はしています。

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